
3.1.2 鉱さいの製造・貯蔵に関する実態調査 調査実施者:液状化物質検討部会 浦部会長、太田委員、田中(正)委員、林委員、八住委員、飛延(事務局) 調査実施日:平成7年11月21日(火) 調査目的:液状化対象物質の「同一性」に拘わる事項について調査検討し、特殊貨物船舶運送規則の液状化物質に関する適用の条件を明らかにするための審議に資する。 (1)日鉱金属株式会社 佐賀関製錬所 (A) 対象物質:鉱さい(カッパースラグ) (B) 製錬所関連の調査結果 * 現在、佐賀関製練所は銅の製錬だけを行っている。銅製錬の原料鉱石は銅、鉄、硫黄を含む硫化物であり、製錬は酸化により硫化鉱から硫黄と鉄を除く工程である。硫化銅を抽出した残りが鉱さい(スラグ)である。1951年に世界で初めて硫酸ガスから硫黄を製造することに成功した。銅製錬の歴史は、排煙対策であった。 * 銅スラグの月間発生量は約35,000トンである。銅スラグの貯蔵庫は3,000トン規模が6つあり、合計18,000トン貯蔵できる。専用岸壁は、長さ300m、喫水10mあり、40,000トン級の船舶が着岸できる鉱石専用の広浦A・Bバースと、長さ130mの20,000トン級の硫酸・スラグ積みの広浦Cバースがある。スラグは後者のバースから全ての船舶で出荷している。 * 世界で採掘される銅鉱石の粗鉱品位は、平均1%、最高4〜5%である。採掘後、山元で浮遊選鉱された後精鉱として出荷される。精鉱の平均品位は銅30%、 鉄23%、硫黄28%、水分値9%程度である。銅精鉱の粒径約60〜70ミクロンであり、品位のバラツキをなくすためブレンドして使用する。 * 自溶炉から出るスラグは練カン炉を経て、水砕され、平均2〜3m粒径となり、貯蔵、出荷される。スラグ中の銅分は転炉へ投入される。転炉から出るスラグは5%程度の銅を含んでいるので、粉砕、選鉱し、銅精鉱とスラグ(鉄精鉱)とに分けられる。鉄精鉱は月産13,000〜14,000トン程度発生し、主な出荷先はセメント向けで、地域は瀬戸内海である。 * 船積み時のスラグの水分値は4%程度である。スラグはサンドブラストにも使用され、また、台湾等へセメントの鉄原として輸出される。 * 固体密度は一定間隔で計測している。嵩密度は再現性が問題である。 * スラグの輸送中の問題は経験していない。 (C) 見学 スラグの貯蔵場所、荷役関係装置、1号炉を見学し、湯状のスラグが自溶炉から出て, 練カン炉に入り、抜き出されて水砕されるまでの流れを見学した。 (D) スラグ関連の調査結果 * スラグの粒度は2種類。スラグの粒度は現在、安定しているため月一度計測している。密度は年4回計測している。 * マグネタイト成分は除去できるようになってきた。微量成分は変動がある。
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